VBAの処理速度は遅い?Excel VBAのパフォーマンス事情と改善ポイントまとめ
生徒
「Excel VBAってよく使われているけれど、処理速度が遅いって聞いたことがあります。本当に遅いんですか?」
先生
「確かにVBAは高速なプログラミング言語ではありません。でも、工夫次第で十分に早く動かせますよ。まずはVBAがどんな仕組みで動いているかを知ると理解しやすいです。」
生徒
「仕組みがわかれば、速度を上げる方法もわかるってことですね?」
先生
「その通り。今日はVBAが遅く感じる理由と、初心者でもできる改善方法をやさしく解説していきます。」
1. なぜExcel VBAは遅いと言われるのか?仕組みを簡単に理解しよう
まず押さえておきたいのは、Excel VBAはExcelの中で動くプログラミング言語だということです。他のプログラミング言語と違って、Excel自身の動きに大きく影響を受けます。例えばセルの値を変更したり、シートを切り替えたりすると、そのたびにExcel全体が反応して画面を更新します。この更新作業が多いと、その分処理が遅くなってしまうのです。
また、VBAはコンパイルされて高速で動く言語ではなく、Excelがその場で読み取りながら実行する方式です。これは「インタープリタ型」と呼ばれる仕組みで、機械語レベルで動く言語に比べてどうしても速度が落ちてしまいます。
しかし、だからといって「VBA=遅い」というわけではありません。実際には書き方次第で何倍も高速化できます。次の章ではその理由をさらに深く解説していきます。
2. 処理速度が遅くなる原因は?初心者がつまずきやすいポイント
VBAが遅くなる理由はいくつかありますが、特に初心者が気づきにくいポイントがあります。それは「セルを何度も操作している」という点です。
例えば、1万行のデータを1行ずつループして値を読み取るコードは、見た目は正しくてもExcelにとっては非常に負担が大きいです。Excelはセル1つを触るだけでも裏側で多くの処理を行っています。これが数百回、数千回と続くと速度が極端に落ちてしまいます。
また、Excelの画面が常に更新されてしまうことも処理を重くする原因です。人間が画面を見る必要がないときでも、Excelは忠実に画面を描き換えてしまいます。これは画面描画の負荷と呼ばれ、VBAの速度を遅くする代表的な問題です。
3. 画面更新を止めて高速化する方法(初心者が最初に覚えたいテクニック)
一番効果がある高速化テクニックは、Excelの画面更新を止める方法です。これは初心者でも簡単に使えるので、まず最初に覚えておきたいポイントです。画面更新とは、セルの変更などが行われるたびに画面を描き直す動きのことです。この動きを止めることで、処理速度が大きく改善します。
Sub SpeedUp()
Application.ScreenUpdating = False
' ここに大量処理を書く
Application.ScreenUpdating = True
End Sub
処理前に「False」で画面更新を止め、最後に「True」で元に戻すだけです。これだけで数倍速くなるケースもあります。
4. セルを何度も触らない!配列を使った高速処理の考え方
VBAの高速化でよく登場するキーワードが「配列」です。配列とは、たくさんのデータをまとめて入れておける箱のようなものです。セルからデータを1つずつ読むのではなく、セル範囲を丸ごと配列に読み込むことで、セル操作の回数を大幅に減らせます。
Excel VBAと配列の組み合わせはとても相性がよく、大量データ処理の必須テクニックです。配列は最初は難しく感じますが、「まとめてデータを運ぶ」と考えるとわかりやすいです。
Dim data As Variant
data = Range("A1:A10000").Value
このように一行で一万件のデータを読み込めます。これを1件ずつ読み込む処理と比べると、速度差は圧倒的です。
5. 計算式の再計算を止めて高速化する方法
Excelには「自動計算」という機能があり、セルを変更するたびに関数を再計算します。普段は便利ですが、VBAで大量のセルを書き換えるときは、それが大きな負担となります。この再計算を止めておくことで高速化が可能です。
Application.Calculation = xlCalculationManual
' 大量の処理
Application.Calculation = xlCalculationAutomatic
特にVLOOKUPやSUMIFなどの関数が多いシートでは非常に効果が高いです。
6. With構文で処理を高速化するテクニック
初心者が見落としがちなポイントに、「同じオブジェクトを何度も参照している」という問題があります。例えば「Range("A1")」を毎回書くと、そのたびにExcelがセルを探しにいきます。これを避けるために使うのが「With構文」です。
With Range("A1")
.Value = 10
.Font.Bold = True
.Interior.ColorIndex = 6
End With
同じ対象をまとめて操作することで、余計な参照の回数を減らし、高速化できます。
7. Forループを使うときの注意点と高速化のコツ
VBAの基本文法である「Forループ」はとても便利ですが、大量データを扱う場合には注意が必要です。特にセルをループする書き方は速度が落ちやすいため、極力避けるのがポイントです。
また、ループ内で条件分岐やセル操作が多いと、その分だけ処理が遅くなってしまいます。ループ前に必要な情報をまとめて取得し、ループ内の処理を最小限にすることで高速化できます。
8. オブジェクト参照の最適化で無駄な処理を減らそう
VBAでは「Workbook」「Worksheet」「Range」などのオブジェクトを扱います。オブジェクトを参照するたびにExcelは内部で検索を行うため、これが増えると処理が遅くなります。「Set」を使って変数に保存してから使うことで、無駄な検索を避けられます。
Dim ws As Worksheet
Set ws = ThisWorkbook.Sheets("Data")
ws.Range("A1").Value = "OK"
これだけでも処理速度が向上するため、初心者にもおすすめの方法です。
9. 実務で役立つVBA高速化の具体的な考え方
実務では、VBAの高速化は単にコードを早くするだけではありません。どうすれば無駄なく必要な情報を処理できるかを考えることも大切です。例えば、必要なデータだけを処理する、不要なセルは触らない、複雑な処理は配列にまとめて実施する、といった考え方が重要になります。
Excel VBAは処理速度だけで評価されがちですが、使う人の工夫次第で驚くほど便利な自動化ツールになります。
まとめ
Excel VBAは遅いと言われる理由と正しい向き合い方
この記事では、「VBAの処理速度は遅いのか?」という多くの人が一度は抱く疑問について、仕組みから具体的な改善方法までを順を追って解説してきました。Excel VBAは確かに、専用の高速言語と比べると処理速度で劣る場面があります。しかし、それはVBAが「Excelの中で動く仕組み」であることを理解していないことから生まれる誤解でもあります。
VBAはExcelの画面描画、セルの再計算、オブジェクト参照と密接に結びついて動作しています。そのため、何も考えずにセルを一つずつ操作したり、画面更新を止めずに大量処理を行ったりすると、極端に遅く感じてしまいます。一方で、VBAの特性を理解した書き方をすれば、実務レベルでは十分すぎる速度を出すことも可能です。
初心者でも効果を実感しやすい高速化ポイント
特に重要だったのは、画面更新を止めること、計算を一時的に停止すること、そしてセルを直接何度も触らないという考え方です。これらは難しいアルゴリズムを覚えなくても、少しの記述を追加するだけで効果が表れます。
例えば、Application.ScreenUpdatingをFalseにするだけで、処理速度が数倍以上変わるケースは珍しくありません。また、自動計算を一時的に止めることで、関数が多いシートでもスムーズに処理できるようになります。こうした工夫は、VBA初心者が最初に覚えておくべき実践的な知識と言えるでしょう。
配列とオブジェクト参照がパフォーマンスを左右する
VBA高速化の中核となる考え方が、「配列」と「オブジェクト参照の最適化」です。セルを一件ずつ処理するのではなく、必要な範囲をまとめて配列に読み込み、メモリ上で処理する。この発想を身につけるだけで、VBAの処理速度は劇的に改善します。
また、WorksheetやRangeを何度も直接指定するのではなく、変数にセットして使い回すことで、Excel内部の検索処理を減らせます。With構文やSet文は、可読性を上げるだけでなく、結果としてパフォーマンス向上にもつながる重要なテクニックです。
高速化は「無駄を減らす」という考え方
VBAの処理速度改善は、特別な裏技を使うことではありません。無駄な画面更新をしない、不要なセルを触らない、同じ処理を何度も繰り返さない。このように「Excelに余計な仕事をさせない」意識を持つことが何より大切です。
実務では、処理速度が少し遅いだけで「VBAは使えない」と判断されてしまうこともあります。しかし、正しく書かれたVBAは、日々の集計、チェック、帳票作成を大幅に効率化できる強力なツールです。速度の問題は、VBAそのものではなく、書き方の問題であることがほとんどです。
学習段階で試してほしいシンプルな高速化サンプル
これまで学んだ内容を意識した、非常に基本的な高速化サンプルをもう一度確認してみましょう。画面更新と計算を止め、オブジェクトをまとめて扱うだけでも、処理の考え方が変わってきます。
Sub FastSample()
Application.ScreenUpdating = False
Application.Calculation = xlCalculationManual
Dim ws As Worksheet
Set ws = ThisWorkbook.Sheets("Data")
ws.Range("A1").Value = "処理開始"
ws.Range("A2").Value = "高速化を意識しています"
Application.Calculation = xlCalculationAutomatic
Application.ScreenUpdating = True
End Sub
このように、処理前と処理後を意識するだけでも、VBAの動きは大きく変わります。まずはこうした基本形を身につけ、自分の業務に当てはめていくことが、VBA上達への近道です。
生徒
「VBAが遅いって聞いて不安でしたが、原因がわかると納得できました。書き方でこんなに変わるんですね。」
先生
「そうですね。VBAはExcelと一体になって動くからこそ、Excelの動きを理解することが大切なんです。」
生徒
「画面更新や自動計算を止めるだけで速くなるのは、正直驚きました。もっと難しいことをするのかと思っていました。」
先生
「最初はシンプルな改善で十分ですよ。慣れてきたら配列やオブジェクト参照も意識していきましょう。」
生徒
「これなら実務でもVBAを使い続けられそうです。遅いから避けるのではなく、工夫して使うのが大事なんですね。」
先生
「その通りです。VBAは正しく使えば、今でも十分に現場で役立つ技術です。」